投資家情報/経営戦略

当社は、2027年3月期から2029年3月期の事業運営の指針となる新中期経営計画「児玉化学工業グループ新中期計画2028」(以下「新中計」という。)を策定いたしました。

1. 前中計の数値目標と実績、新中計の数値目標

2022年3月期
(実績)※前中計開始前
2026年3月期
(前中計目標)
2026年3月期
(実績)
2029年3月期
(新中計目標)
売上高
(単位:億円)
148 225 827 830
営業利益
(単位:億円)
6.7 22.5 26.7 32.0
EBITDA
(単位:億円)
- - 69.0 81.0
自己資本比率
(%)
- - 42.3 45.0以上
株主還元 無配 - 普通株配当
10円/株
総還元性向
10%以上

2. 策定の背景

当社は、2022年6月に、事業再生ADR手続の終結とその後の持続的な成長の実現に向け、2023年3月期から2026年3月期までの4ヶ年を実施時期とする「中期経営計画 KCI2025」を策定し、これを着実に実行してまいりました。

その結果、2023年6月30日付で事業再生ADRの対象債務を完済し再生計画を完遂することができたことを契機として、将来の成長に向けた基盤整備を着実に進め、2025年4月には株式会社メプロホールディングスの発行済株式の全てを取得して買収し、事業規模を拡大させました。この結果、KCI2025にて掲げた売上高・営業利益の目標を達成することで、前中計期間を満了させることができました。

この買収により、当社は、「樹脂技術と金属技術の融合による唯一無二の競争優位を確立して成長を加速させることを目指す」という新たな経営方針を掲げるとともに、2025年5月14日に新生児玉化学工業グループビジョンを公開いたしました。このグループビジョンに、買収後のこの一年間の取組結果を反映させ、より発展させる形で新中計は策定されました。

3. 長期構想と新中期経営計画の位置づけ

新中計では、長期的に目指す企業の将来像として「異素材加工技術の統合を軸に、製造業発展の一翼を担える企業」を構想しました。これをパーパスとして掲げるとともに、自動車などで内部設計のモジュール化が進んでいく趨勢を見越し、必要に応じM&A等も活用しながら多様な加工技術を有することで、多様な素材や部材で構成される機能モジュールをワンストップで提供する企業への進化を志向します。

この長期構想の実現に向け、昨年公開したグループビジョンにある「樹脂と金属、2つのコア技術の融合により唯一無二のソリューションパートナーに」を当面は目指していくものとし、この実現に向けて以下の図にある三段階で進めていく構想です。具体的には、第一段階で既存事業の収益基盤強化を行い、第二段階では売上高の90%以上を占めるモビリティ領域でのシナジー創出を図り、第三段階としてモビリティ領域以外の新市場・顧客を開拓してまいります。

新中計は、この三段構想の第一段階の中盤から第二段階の前半部分を担います。

三段構想:1. 既存事業の収益基盤強化(戦略の策定、施策の実行・徹底)、2. モビリティ領域でのシナジー創出(シナジー追求に向けたアクション、シナジー効果の発現)、3. 非モビリティ領域への展開による成長ドライバー確立(非モビリティ市場向け新製品開発、新市場・顧客からの受注獲得)

4. 新中期経営計画での基本方針

上記の第一段階「既存事業の収益基盤強化」に基づき、新中計の基本方針を「収益基盤強化」としています。具体的には、5年後の目指す姿を売上高900億円、営業利益率5.0%として、新中計の期間中に営業利益率が恒常的に3.0%を上回る体制構築を完遂し、中計最終年度である29/3期(3年目)には、売上高830億円、営業利益32億円、営業利益率3.9%を目指す計画です。

この実現に向け、再成長に向けた投資を加速させます。まず、維持更新投資として、減価償却費とほぼ同等の139億円(3ヵ年累計)を投じて供給体制や品質の安定化を図ります。これに加え、当期利益と手元資金・資産を活用して戦略投資として57億円(3ヵ年累計)を投じ、競争力の強化を図ります。

5. 各事業における戦略と取り組み

1) 樹脂成形セグメント

国内においては、関東圏での樹脂製品需要の減少(特に自動車産業向け)とそれに伴う競争激化を予想し、それに対処する観点から、「ものづくり基盤の再強化」を目指して、大きく二つの施策を実施します。

第一は、現在ある3工場の役割をより明確化し各工場の個性を高める再編を行います。具体的には、埼玉工場を基幹の量産工場と位置づけ、生産集約を行って稼働率と競争力を高め、収益力の強化を図ります。西湘工場は、量産工場兼開発工場と位置づけ、研究開発機能の強化を図り、研究開発結果を袋井工場へ展開する拠点とします。袋井工場は、省人化・自動化設備の実証拠点と位置づけ、量産を続けながら西湘工場で開発された省人化・自動化システムの実用化、及び、西湘工場からのリモートでの設備管理等の可能性を探っていく拠点とします。将来的には、西湘工場・袋井工場でのリモート管理等の取り組みをグループに拡大し、拠点の相互利用を促進させ、製品・領域ごとに役割を可変可能な協働型ネットワークの構築につなげていくことを目指してまいります(ハブ&サテライト構想)。

第二は、スーパーエンプラ等の高機能素材への取り組み強化であり、研究開発機能を強化する西湘工場で集中的に取り組んでまいります。西湘工場では、GMT(プラスチックを含浸した長繊維ガラスマット)などの高付加価値品の生産実績が既にありますが、安定量産可能なエンプラの種類を更に増やしてまいります。

海外でもスーパーエンプラ等の高機能素材への取り組み強化を図り、高機能素材の現地生産能力の向上に取り組む方針です。特に、タイ法人では、日系自動車メーカーの現地調達ニーズの更なる高まりをうけて多数の引き合いを既に頂戴しており、アマタ工場の増床などの投資を計画しています。

2) 鋳鍛造セグメント

xEV製品の拡販を成長ドライバーと位置づけ、コスト構造改革を同時推進することで、営業利益率を3.9%まで引き上げてまいります。既に、アルミ製の電子部品ケースや、鉄製のモーターシャフトなどのxEV製品を受注しており、これに加え、デファレンシャルASSYや減速機ケースなどの獲得を進めることで、製品ラインナップの拡充を図ってまいります。

コスト構造改革においては、特に国内の赤字拠点を中心にこれを完遂し、また海外においても、恒常的な黒字体質の確立を最重要課題として、生産性改善などに取り組むことで、セグメント全体で6.6億円の収益改善効果を28年3月期までに積み上げてまいります。

3) 粉末冶金セグメント

国内においては、短期的には既存製品の収益最大化を推進しつつ、開発を進める電源向け新製品の受注獲得を目指してまいります。既存品においては、日本から各国への輸出機会の捕捉や、他工法から焼結への置き換え需要を獲得して、拡販につなげてまいります。電源向けでは、データセンター・半導体向け電力需要の拡大を追い風に、スイッチング電源の高効率化・小型化需要が顕在化していることを商機に、当社独自の圧粉コアを用いた電源用トランスを投入して事業拡大を計画しています。中計初年度を判断期間と位置付け、独自小型高効率回路と合わせて、展示会等への積極出展を通じて受注獲得を目指してまいります。

海外においては、新工場を設立して新たに進出するインドを成長の柱と位置づけ、インド工場の27年3月期中の確かな量産立ち上げと、ローカルメーカーへの拡販を企図します。

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